Iペース
Iペース(インターバルトレーニング)は、ランニングの中で最も多様に解釈されるトレーニングの一つです。その目的は、有酸素性能力(VO₂max)を最大限に向上させることです。この記事では、Iペーストレーニングについて詳しく解説し、その効果的な実施方法や注意点について説明します。
Iペースの目的と基本
Iペーストレーニングの目的は、最大酸素摂取量(VO₂max)を向上させることにあります。VO₂maxは、ランナーの持久力を測る重要な指標であり、トレーニングによってこの数値を高めることで、全体的なパフォーマンスが向上します。Iペースでのランニングは、VO₂max付近、もしくはそれとほぼ同等のペースで行います。このペースでのトレーニングは、ランナーがVO₂maxを維持できる時間である3〜5分間の疾走と、リカバリーの休息を繰り返す形式で行います。
VO₂maxとは
VO₂max(最大酸素摂取量)は、体が運動中に最大限取り込んで利用できる酸素の量を指し、心肺機能や持久力の指標としてよく使われます。
VO₂maxに到達する時間や、それを維持できる時間は個々のフィットネスレベルやトレーニング状況に左右されますが、一般的に次のような点が関係しています。
VO₂maxに到達するまでの時間
VO₂maxに到達するには、強度の高い運動をある程度の時間続ける必要があります。
通常、ランニングなどの有酸素運動では以下のプロセスが発生します。
- 徐々に心拍数が上昇
強度の低い運動を開始すると、心拍数や呼吸は次第に増加します。
心臓が酸素を含む血液を全身に送り出す効率が上がり、筋肉もその酸素を利用してエネルギーを生成し始めます。
しかし、最初の段階ではVO₂maxにはまだ到達していません。 - 強度を上げることで酸素消費量が増加
運動の強度が上がると、体がさらに多くの酸素を必要とし始めます。
この段階で、VO₂maxに近づきます。
最大酸素摂取量を使い始めるまでに3〜5分程度の強度の高い運動が必要です。 - VO₂maxに到達するタイミング
一般的には、運動強度が最大酸素摂取量を必要とするレベルに達すると、3〜5分程度の持続的な高強度運動によってVO₂maxに到達します。
これはインターバルトレーニングの「疾走区間」に該当します。
最初の数分は体が酸素を効率よく取り入れようとし、酸素消費量が最大に達します。
VO₂maxを維持できる時間
VO₂maxに到達した後、そのレベルをどれくらいの時間維持できるかは、トレーニングの経験や体力によって異なります。
通常、VO₂maxを維持できる時間は以下のように分類されます。
- 持続時間は3〜8分程度
多くのランナーはVO₂maxに到達した後、その状態を維持できるのは約3〜8分程度とされています。
トレーニングにより鍛えられたランナーほど、VO₂maxに近い状態をより長く維持することができます。 - 疲労の影響
VO₂maxを維持することは非常にきつい作業です。
体は最大限の酸素を取り入れてエネルギーを生産していますが、筋肉内でのエネルギー消費量が大きく、乳酸が蓄積し始めます。
これにより、筋肉が酸欠状態に陥り、強度を落とす必要が出てきます。 - インターバルトレーニングでVO₂maxを活用
インターバルトレーニングでは、VO₂maxに到達し、3〜5分間の高強度運動を行った後、短いリカバリー期間を挟むことが一般的です。
このサイクルを繰り返すことで、VO₂maxの状態にできるだけ長く留まることが可能になります。
例えば、3分間の疾走と2分間のリカバリーを5〜8回繰り返すトレーニングがVO₂maxを効果的に向上させる方法の1つです。
VO₂maxに到達するまでのトレーニング方法
VO₂maxに到達し、さらにそれを向上させるためには、以下のトレーニング方法が有効です。
- インターバルトレーニング
VO₂maxに到達しやすい強度の運動を短時間(3〜5分間)繰り返し行うのが理想的です。疾走区間の強度は、95%〜100%の最大心拍数で走ることが目安です。 - 短時間の高強度運動
例えば、800〜1600メートルのレペティショントレーニングや、坂道ダッシュ、バイクの全力疾走などの短い時間で全力を出し切る運動はVO₂maxに効果的です。 - 持続的な高強度トレーニング
例えば、20分の連続した高強度の運動を行うことで、体が最大酸素摂取量に適応しやすくなります。このトレーニングはTペースと近い形式で行われることがありますが、心拍数をVO₂maxに近づけることが目標です。
VO₂maxに到達するまでの時間は、約3〜5分の高強度運動を必要とします。
到達後、それを維持できる時間は通常3〜8分程度であり、非常に高い強度のトレーニングとなります。
このレベルに到達し、さらに維持するためには、インターバルトレーニングや短時間の高強度運動が最も効果的です。
VO₂maxを向上させることで、持久力やパフォーマンスが大幅に向上し、より速く、より長く走ることができるようになります。
疾走とリカバリーのバランス
Iペーストレーニングでは、疾走とリカバリーのバランスが非常に重要です。疾走時間は3〜5分が目安ですが、リカバリーは疾走の半分以下に抑えることで、次の疾走でもVO₂maxにすばやく到達することが可能です。例えば、3分間の疾走を行った後、リカバリーは1〜1.5分程度が理想的です。
リカバリーが長すぎると、次の疾走でVO₂maxに達するまで再び時間がかかってしまい、効果が薄れてしまいます。逆に、リカバリーが短すぎると、疲労が蓄積して次の疾走でペースが維持できなくなる可能性があります。
効果的なIペーストレーニングの具体例
Iペーストレーニングは、3〜5分間の疾走を数セット行う形式が一般的です。以下に、いくつかの練習例を紹介します。
- 4分間疾走+2分間リカバリー × 5セット
- 3分間疾走+1.5分間リカバリー × 6セット
- 5分間疾走+2.5分間リカバリー × 4セット
これらの練習では、合計で約20〜30分間VO₂max強度のトレーニングが行えます。
Iペーストレーニングの注意点
- ペースを守る
VO₂maxペースより速く走っても、得られる効果は向上しません。むしろ、疲労が溜まり、練習の後半ではペースが落ちてしまうことがよくあります。適正ペースを維持し、全てのセットで安定したパフォーマンスを発揮できるよう心がけましょう。 - 無理をしない
Iペーストレーニングは非常にハードなトレーニングです。適切なリカバリー期間を設け、過剰な疲労が溜まらないようにすることが大切です。練習後は十分な回復を取り、次回のトレーニングに備えるようにしましょう。 - 週に1〜2回まで
Iペーストレーニングは強度が高いため、頻繁に行うと故障のリスクが高まります。週に1〜2回を目安にし、他のトレーニングとバランスを取って実施するようにしましょう。
高地/常圧低酸素*トレーニングとIペース
高地/常圧低酸素トレーニングでは、Iペースの設定が難しくなります。
低地でのVO₂maxに相当するペースが、高地では遅くなるため、ランナーは混乱しがちです。この場合、ペースを気にするよりも、体感的な負荷に基づいてトレーニングを行うことが推奨されます。「きつい」と感じるペースで走ることが、効果的なストレスを身体に与える手段となります。
*常圧低酸素とはある区画内を気圧はそのままで酸素量だけ減らし、擬似的な高地トレーニングを行える環境です。弊施設で提供できるトレーニング環境です。
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ショートインターバルトレーニング
Iペーストレーニングのバリエーションとして、ショートインターバルトレーニングもあります。
これは、より短い疾走時間と短いリカバリーを繰り返す方法です。
例えば、200mの疾走を40秒で行い、20秒のリカバリーを挟んで20本行うといった練習が考えられます。短い疾走でも、リカバリーを短く設定することで、VO₂max強度のランニング時間を増やすことが可能です。
Iペーストレーニングの練習例
- (3分疾走+1.5分リカバリー)×6セット
- (4分疾走+2分リカバリー)×5セット
- ショートインターバル200m疾走×20本(リカバリー20秒)
Iペースのまとめ
Iペーストレーニングは、最大酸素摂取量を向上させるための非常に効果的なトレーニングです。3〜5分間の疾走と短めのリカバリーを繰り返し行うことで、持久力とパフォーマンスの向上が期待できます。ただし、過度な疲労を避け、適切なペースとリカバリーを守ることが重要です。
低酸素トレーニングとダニエルズのフォーミュラの融合
ここで、トレーニング効果をさらに高めるために注目されているのが低酸素トレーニングです。低酸素環境下でのトレーニングは、体が酸素不足に適応しようとするため、V̇O2maxや持久力の向上に効果的とされています。
ダニエルズのフォーミュラを基にしたトレーニングに低酸素トレーニングを組み合わせることで、短期間でのパフォーマンスアップが期待できます。特に、IペースやTペースのような強度の高いトレーニングを低酸素環境で行うと、心肺機能の強化や酸
素運搬能力の向上に大きな効果が見込まれます。
弊低酸素トーレニングジム RUNNING FACTORY では、あなたの目標に応じたトレーニングプランをカスタマイズし、さらなるパフォーマンスアップをサポートします。興味のある方はぜひお問い合わせください。
書籍の紹介
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