トレーニング理論の深堀りと実際のプラン
前回の記事では、ダニエルズのフォーミュラにおける基本的なペース設定や、乳酸閾値(LT)を向上させるTペーストレーニングについて解説しました。今回の記事では、トレーニング理論をさらに掘り下げ、科学的な根拠や実際のトレーニング計画について詳しく見ていきます。
ダニエルズのランニング・フォーミュラ 第4版について
現在、「ダニエルズのランニング・フォーミュラ」の第4版が出版されています。この新版では、これまでの版と比べて、内容がより充実しており、特に文字の見やすさが向上しています。また、トライアスロンやウルトラマラソンといったランニング以外の種目も追加され、より幅広いアスリートに向けた情報が網羅されています。
第3版では主にランナーを対象とした内容でしたが、第4版では長距離レースに挑戦するランナーだけでなく、異なる競技のアスリートにも有益な情報が含まれています。さらに、この第4版はAmazonで購入可能で、Kindle版も発売されているため、電子書籍としていつでも手軽にアクセスできる点が魅力です。
科学的な根拠
V̇O2max、ランニング経済性、そして乳酸閾値
V̇O2max(最大酸素摂取量)
ランニングにおける重要な指標のひとつが、V̇O2max(最大酸素摂取量)です。これは、運動中に体が最大限に取り込むことができる酸素の量を示し、運動能力の限界を測る指標として広く用いられています。V̇O2maxが高いランナーほど、酸素を効率よく利用してエネルギーを生産できるため、より速く長時間走ることができます。
しかし、V̇O2maxがいくら高くても、無駄なエネルギー消費が多ければそのパフォーマンスは最大限に発揮できません。ここで重要になるのが、ランニング経済性(Running Economy)です。
ランニング経済性
ランニング経済性とは、少ないエネルギーで効率的に走る能力のことを指します。ランナーが同じペースで走っていても、経済性の高いランナーはエネルギーの消費が少なく、疲れにくいため長距離を走り続けることができます。ダニエルズのトレーニングでは、Eペース(イージーペース)ランやTペース(閾値ペース)ランを通じて、このランニング経済性を向上させることが狙いです。
乳酸閾値(Lactate Threshold)
もう一つの重要な要素が乳酸閾値(Lactate Threshold, LT)です。運動中に体内で生成される乳酸は、ある一定の強度まではうまく処理されますが、閾値を超えると急速に蓄積し、疲労感が増します。このLTが高いランナーは、より速いペースでも疲労を感じにくくなり、長く走り続けることができるのです。ダニエルズのトレーニングでは、このLTを高めるためのTペーストレーニングが推奨されています。
ダニエルズのフォーミュラに基づくトレーニング理論
おさらいとなりますが、ダニエルズのトレーニング理論は、ランナーのレベルや目標に合わせたプログラムを提供します。
その根底にあるのは、これらの科学的な指標をベースにしたトレーニングの組み合わせです。トレーニングは主に、以下の4つのペースで構成されています。
Eペース(イージーペース)
Eペースは、リラックスして会話ができるほどの強度で、ランニング初心者から上級者まで、全てのランナーに有効なトレーニングです。このペースは、心肺機能の向上や持久力の基礎を築くために重要であり、特に走行距離を増やす際に活用されます。Eペースランは体への負担が少なく、疲労回復にも効果的です。
Tペース(閾値ペース)
Tペースは、LTを向上させるためのトレーニングです。前述の通り、Tペースは長時間持続可能なやや速いペースで、乳酸が急激に蓄積しない範囲で走ります。このペースでトレーニングすることで、マラソンやハーフマラソンでの持久力向上が期待できます。ダニエルズ博士は、1時間持続できるペースを基準とし、週に1回ほど取り入れることを推奨しています。
Iペース(インターバルペース)
Iペースは、V̇O2maxを最大限に引き出すための高強度インターバルトレーニングです。1000mほどの距離を数本繰り返し走り、その間に適度な休息を挟むことで、心肺機能を強化します。このトレーニングにより、全力を出し続ける持久力が養われ、競技でのペースアップが可能になります。
Rペース(レペティションペース)
Rペースは、短距離スピードを強化するためのトレーニングです。200〜400mのスプリントを繰り返すことで、スピードとランニングフォームを改善します。このペースのトレーニングは、レース終盤のスパートやラストの追い込みに役立ちます。
実際のトレーニングプラン
ダニエルズのフォーミュラに基づいた週間トレーニングプランは、各ペースをバランスよく取り入れ、個々のランナーの目標に応じたものになります。
以下は、一般的なランナー向けのトレーニング例です。
各ペースの走行距離や時間はランナーの週間走行距離に基づきます。
自分の力に合ったトレーニングを行う事が体への負担軽減、効果もあります。
週間走行距離60km ランナーのトレーニング例
- 月曜日: 休養日または軽いジョギング(Eペース)
- 火曜日: Tペースラン(20分持続または1.6kmのインターバルを3〜4本)
- 水曜日: Eペースラン(60分)
- 木曜日: Iペース(1000mインターバル5本)
- 金曜日: 休養または軽いジョギング
- 土曜日: 長距離ラン(Eペース、週走行距離の30〜40%)
- 日曜日: Rペーストレーニング(200mスプリント×10本)
このように、ペースや距離を調整しながらトレーニングを行い、体力やスピードの向上を図っていきます。
こちらはあくまでも例ですので自分の能力をみつつ組み立てましょう。
低酸素トレーニングとダニエルズのフォーミュラの融合
ここで、トレーニング効果をさらに高めるために注目されているのが低酸素トレーニングです。低酸素環境下でのトレーニングは、体が酸素不足に適応しようとするため、V̇O2maxや持久力の向上に効果的とされています。
ダニエルズのフォーミュラを基にしたトレーニングに低酸素トレーニングを組み合わせることで、短期間でのパフォーマンスアップが期待できます。特に、IペースやTペースのような強度の高いトレーニングを低酸素環境で行うと、心肺機能の強化や酸
素運搬能力の向上に大きな効果が見込まれます。
弊低酸素トーレニングジム RUNNING FACTORY では、あなたの目標に応じたトレーニングプランをカスタマイズし、さらなるパフォーマンスアップをサポートします。興味のある方はぜひお問い合わせください。
次回は、実際にダニエルズのトレーニングを試した体験談や、低酸素トレーニングとの相乗効果について詳しくお伝えします。お楽しみに!
