シーズンの構築

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はじめに

陸上競技におけるシーズンの構築は、非常に多様な要素が絡み合うため、標準的な方法を定めるのが難しいものです。特に、クロスカントリーシーズンでは個々の体力やトレーニング経験が異なるため、どのようにプログラムを構築するかは指導者にとって悩みの種です。本記事では、シーズンを成功に導くための計画と、シーズンを4つのフェーズに分けたトレーニング方法について、詳細に解説していきます。

シーズン構築のポイント:情報収集からスタート

シーズンの計画を立てる前に必要なのは、まず各ランナーの現在の体力レベルや走行距離、レース経験を把握することです。この情報に基づいてトレーニングプログラムを組み立てることで、各ランナーにとって効果的かつ怪我を防ぐトレーニングを実現できます。ランナーに関する情報収集には、以下の項目が必要です:

  • 最近の走行距離:週にどれくらい走っているのか。
  • トレーニングのペース:どのペースで走行しているか。
  • 最近のレース結果:現状の体力レベルを判断する指標となる。
  • シーズン目標レースの選定:最重要レースと、その前に出場するレースのスケジュールを確定する。

こうした情報をもとに、各ランナーが現時点で適正なトレーニング強度(VDOT)を見極め、シーズンを効果的に計画することができます。

シーズンを4つのフェーズに分ける

1シーズンのトレーニングを4つのフェーズに分け、各フェーズで異なる目的とトレーニング内容に集中することで、段階的にパフォーマンスを高めていきます。それぞれのフェーズについて詳しく見ていきましょう。

フェーズI: B/FIP フェーズ – 基礎・基盤の構築

目的:シーズン開始時のトレーニングの基盤を築き、怪我を予防する
期間:通常6週間

フェーズIは、シーズンの基礎を築くフェーズです。この期間中は、有酸素能力を高めるE(Easy)ペースのランニングを中心に、レジスタンストレーニングやダイナミックストレッチなどの補助的なトレーニングも組み合わせて行います。Eペースのランニングとは、ゆっくりとしたペースで体を慣らすトレーニングで、怪我の予防と持久力の向上に効果的です。加えて、軽いウィンドスプリント(10~15秒間の速い動き)を取り入れ、体を徐々に高強度のトレーニングに慣らしていきます。

フェーズII: IQ フェーズ – 初期の高強度トレーニング

目的:質の高いトレーニングを始め、心肺機能を向上させる
期間:6週間

フェーズIIでは、Eペースから一歩進み、R(Repetition)トレーニングを取り入れます。Rトレーニングは短い距離でスピードを出すトレーニングで、心肺機能とスピードの向上を目的としています。このフェーズでは、レースのような高強度トレーニングを行い、体に新たなストレスをかけていくことが重要です。ただし、前のシーズンのベストタイムに基づいたペース設定は避け、現時点の体力レベルを基にした設定を行います。また、Rトレーニングの頻度は週に2回とし、Eペースのランニングを間に挟んで、体に過度な負担がかからないように配慮します。

フェーズIII: TQ フェーズ – トレーニングの移行期

目的:有酸素能力をさらに向上させ、目標レースに向けてトレーニングの強度を上げる
期間:6週間

このフェーズでは、I(Interval)トレーニングが中心となり、より持久力を養うための高強度なランニングを行います。Iトレーニングは長距離レースに必要な有酸素能力の向上を目的としており、Rトレーニングよりもペースは落ちますが、より長い距離を走ることが特徴です。距離が長い種目を専門とするランナーであれば、このフェーズでIトレーニングを週に2回取り入れ、それ以外はEペースのランニングとします。一方、短い種目がメインのランナーはIトレーニングの頻度を減らし、Rトレーニングを維持することが望ましいです。

フェーズIV: FQ フェーズ – 最終調整とピークパフォーマンス

目的:パフォーマンスのピークに向けた最終調整
期間:6週間

シーズンの最終段階となるフェーズIVは、パフォーマンスをピークに持っていくためのトレーニングに集中する時期です。このフェーズでは、T(Threshold)トレーニングを中心に、レースの距離や種目に応じたトレーニングを行います。長距離のランナーであれば、Tトレーニングに集中し、Eペースのトレーニングを減らす一方で、レースのシミュレーションに近い距離を走ることが推奨されます。比較的短い距離のランナーは、TトレーニングとRトレーニングを組み合わせたQ(Quality)トレーニングを取り入れることで、スピードと耐久力をバランスよく養成します。

また、フェーズIVのトレーニングではレースがトレーニングの一環として扱われることが多く、レース経験によって得られる有酸素能力やスピードの向上をトレーニングに生かします。5~20分程度の中距離レースは、Iトレーニングと同様の効果が期待できるため、計画的にレースを組み込むことで最適なトレーニング効果を得られます。

フェーズごとのトレーニング期間の調整

シーズン全体で24週間のトレーニングを予定することが理想ですが、実際にはこの期間を確保できない場合もあります。そのような場合には、以下の2つの方法で対応します:

  1. シーズン前の期間を活用:クロスカントリーのシーズンなどで時間が限られる場合、シーズン前の夏休み中にフェーズIとフェーズIIを終わらせ、シーズン中にフェーズIIIとフェーズIVを行います。
  2. フェーズの短縮:各フェーズを6週間よりも短くすることで、限られた期間の中でシーズンを完了させます。この際、重要なトレーニングを優先順位に従って絞り込むことがポイントです。

シーズンの構築には細かい配慮が必要ですが、適切なフェーズの切り替えと各トレーニングの効果を最大限に活かすことで、ランナーのパフォーマンスを向上させることができます。それぞれのフェーズで体に与えるストレスとその回復を適切に管理することが、最終的な成功につながります。

まとめ

陸上競技のシーズン構築には、ランナーごとの体力レベルやレース目標を考慮し、計画的にトレーニングを進めることが不可欠です。シーズンを通して段階的に負荷を上げ、各フェーズで異なる目的を持ったトレーニングを行うことで、パフォーマンスの向上と怪我の予防が可能になります。

各フェーズのポイント

  • フェーズI:基礎体力と持久力の向上を図るため、Eペースのランニングを中心に、軽めの補助トレーニングを組み込みます。
  • フェーズII:Rトレーニングを導入し、スピードと心肺機能の向上に注力します。
  • フェーズIII:Iトレーニングを取り入れ、持久力の向上とレースに必要な体力を養成します。
  • フェーズIV:最終的な調整期間として、レースに近い状況を再現し、Tトレーニングを中心にピークパフォーマンスを目指します。

シーズンの長さに合わせて柔軟にフェーズ期間を調整し、優先度の高いトレーニングを実施することで、短い期間でも効果的なシーズン構築が可能です。計画的なトレーニングと適切なフェーズ管理を通じて、目標レースでのベストパフォーマンスが期待できるでしょう。

低酸素トレーニングとダニエルズのフォーミュラの融合

ここで、トレーニング効果をさらに高めるために注目されているのが低酸素トレーニングです。低酸素環境下でのトレーニングは、体が酸素不足に適応しようとするため、V̇O2maxや持久力の向上に効果的とされています。

ダニエルズのフォーミュラを基にしたトレーニングに低酸素トレーニングを組み合わせることで、短期間でのパフォーマンスアップが期待できます。特に、IペースやTペースのような強度の高いトレーニングを低酸素環境で行うと、心肺機能の強化や酸

素運搬能力の向上に大きな効果が見込まれます。

弊低酸素トーレニングジム RUNNING FACTORY では、あなたの目標に応じたトレーニングプランをカスタマイズし、さらなるパフォーマンスアップをサポートします。興味のある方はぜひお問い合わせください。

書籍の紹介

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AKI RUNNER/RUNNING FACTORY
ランニング系YouTuber(AKIRUNNER), ITエンジニア
RUNNING FACOTRY 開発
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