概要
高地トレーニングは、低圧・低酸素環境でのトレーニングにより得られる受動的な効果(高地馴化)と、積極的なトレーニングによる効果の合成により、競技力向上が期待されています。
しかし、その効果にはメリットだけでなくデメリットも存在し、バランスが求められます。
高地トレーニングのメリット
- 酸素摂取能力の向上:
低酸素環境でのトレーニングにより、酸素摂取能力が向上する。
- 最大換気量の増大:
肺活量や換気量の増加が見込まれる。
- ヘモグロビンの上昇:
赤血球数とヘモグロビン濃度が増加し、酸素運搬能力が向上する。
- エリスロポエチンの上昇:
低酸素に反応してエリスロポエチンが増加し、赤血球生成が促進される。
- 毛細血管網の発達:
微小な血管の発達が起こり、血流が改善される。
- 2,3-DPGの上昇:
赤血球内の2,3-DPGが増加し、酸素解離が効率的に行われる。
- ミトコンドリアの増加:
筋肉内のミトコンドリア量が増え、酸化系酵素活性が上昇する。
- 酸化系酵素活性の上昇:
筋肉の酸化系酵素活性が増加し、エネルギー供給が向上する。
- ミオグロビンの増加:
酸素を筋肉に供給するためのミオグロビンが増加する。
- グリコーゲンのスペアリング増大:
グリコーゲンの使用を抑制し、エネルギー効率が向上する。
- FFA動員能の促進:
脂肪酸の利用が促進され、エネルギー供給が多様化する。
- 筋緩衝能の向上:
乳酸蓄積に対する耐性が向上し、筋力維持が可能になる。
- 乳酸閾値の上昇:
乳酸が蓄積する閾値が上昇し、持久力が向上する。
- 無気的能力の増大:
酸素が不足する条件下での運動能力が向上する。
- 筋力・筋パワーの増大:
筋肉の力とパワーが向上し、パフォーマンスが向上する。
- 機械的効率の改善:
高地トレーニングによって機械的効率が向上し、動作が効果的になる。
- 心理的限界の向上:
高地トレーニングによって心理的な限界が克服され、競技力向上が期待される。
高地トレーニングのデメリット:
- 血液の粘性上昇:
高地でのトレーニングによって血液の粘性が増し、循環が悪化する可能性がある。
- 筋血流量の減少:
低酸素条件下でのトレーニングにより筋肉への血流が減少する。
- 心拍出量の低下:
心臓のポンプ能力が低下する可能性がある。
- 最高心拍数の低下:
最高心拍数が低下し、運動強度に制約が生じる。
- 解糖系酵素活性の減少:
低酸素状態でのトレーニングにより、解糖系酵素活性が低下する。
- アドレナリン受容体の減少:
アドレナリンの受容体が減少し、ストレス応答が低下する。
- 筋糖源分解能の減少:
筋肉の糖分解能が低下し、エネルギー供給が制約される。
- 呼吸性アルカローシス:
低酸素状態に対する呼吸の過剰反応により、アルカローシスが生じる可能性がある。
- 血液緩衝能の低下:
血液の酸塩基平衡が損なわれ、酸中毒のリスクが上がる。
- ストレスホルモンの上昇:
低酸素状態でのトレーニングにより、ストレスホルモンが上昇する。
- 蛋白合成の低下:
低酸素状態で蛋白合成が低下し、筋肉の修復・成長が妨げられる。
- トレーニングの質・量低下:
高地でのトレーニングは質と量の低下が生じやすく、効果が減少する可能性がある。
高地トレーニングの注意点
- 従来の高地での滞在とトレーニング(LH・TH法)における「トレーニングの質的・量的低下」が課題となる。
- 高地での体調管理が難しく、コンディション維持が困難な場合がある。
- 効果と悪影響のバランスが競技力向上に影響を与えるため、悪影響を減らし、効果を最大化する取り組みが必要。
新たな可能性
たとえ低酸素トレーニング有効とわかっていても、高地に足を運び生活しながらトレーニングをすることは金銭的、肉体的、精神的にも負担が大きい。
そこで、身近に低酸素環境を構築することが求められた。
低酸素室の可能性
Ruskoらの「altitude house」の開発により、低酸素環境を自在に設定できる新たな可能性が広がりました。
低酸素室を利用することで、高地がない場所でも高地トレーニングの効果を得られ、トレーニングや体調の管理が容易になります。
これにより、高地トレーニングの手法がより広く普及する可能性があります。
高地トレーニングには様々な効果がある一方で、慎重なアプローチが必要です。新たな手法や施設の開発により、トレーニングの効果を最大化し、悪影響を最小限に抑えることが求められます。
結論
高地トレーニングは有望な手法であるが、慎重なアプローチが必要であり、効果と悪影響のバランスを考慮したトレーニング計画が重要となります。
競技者は悪影響を最小限にし、効果を最大化するための適切なトレーニング戦略を採用する必要があります。
弊施設は、Living Low, Training High 法 を利用することを目的としています。
ABOUT ME

ランニング系YouTuber(
AKIRUNNER), ITエンジニア
RUNNING FACOTRY 開発
趣味はランニング/ロードバイク/鮎釣り/お菓子作り/バイオリン/TESLA